子供の諍いはリスクか?

この記事は、家族のリスク管理における、「肝心の時」「大変な時」とは何か?について私が体験した身近な例を挙げて、わかりやすく解説します。

要旨としては、子供同士の一時的なトラブルは少なくとも「リスクの発現、顕在化」ではありません。

では、本文をお楽しみください。

事件発生状況

三鷹の地元で気に入っているボサノバを演奏する蕎麦屋に行き娘夫婦と二歳半の孫娘Rちゃん、妻と会食しました。

店で用意している子供用のオモチャの中に小さい算盤があり、孫娘のRちゃんはしばらくご機嫌で遊んでいましたがやがて興味は別のオモチャに。
そこへ、トコトコと5歳くらいの女の子が来て「これ私使いたいから貸して。」

目をまんまるにして、「全集中の呼吸」を深々とやった後、孫娘Rちゃんは

「イヤーーーーーーーーーーーーーやだーーーーーーーーーーーー^^、うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」

店中に響き渡るまさに大音声!

店内の雰囲気が一変。
お客さん全員がハシを止めて「何が起こったの」と視線がこっちに集中!

カウンター奥の職人さんも、蕎麦打ちの手を止めて凝視。
店員さんもすっ飛んできて、両方のパパ、ママはパニック。
バーバ(妻)も必死でなだめ、「順番ね」「半分こね」とか言ってるそばで私は独り言。

「この年齢で、所有権、占有権や一時的使用貸借の概念を持つことは難しいだろうなあ。」
とか傍観者的に呟きつつ考えた事は次のとおりでした。

ちなみに私の特技は大音声、趣味として合唱を20年前からやっており、孫娘Rちゃんの才能を認め楽しみにしています。

全く天性の大声量だ。ノンブレスで15秒以上のロングトーンはスゴイ。
しかも完璧な軟口蓋発声が自然にできている。

オッ!?イヤーーーからワーーーーーーーでワンブレス取って音程が4度位上がったぞ。DかEぐらい出てるんじゃないか?うん、惚れ惚れするハイトーンのロングトーンだ。実にいい。

それでどうなったかですか?

勿論、孫娘Rちゃん(2歳半)は占有権を徹底的に主張することに成功し、その5歳くらいの女の子はベソをかきながら、撃退されてママに連れられて自席に帰って行きました。

ジージ(私)の妄想

「この自我の強さと声量。まさにソリスト。ステージに立ってホールいっぱいに響かせる日はいつ頃だろうか。」

「うん、母校W大の応援部女子リーダーでもいいな。神宮球場一塁側から外野まで届くんじゃないか。」

「政治家でもいいかも。抑揚も効いてるし。」

等々と妄想します。

楽しい空想と夢の時間はすぐに過ぎ去りました。私の妄想の間、娘夫婦達は「終戦処理」に汗だくになって向こうのテーブルで謝っていました。

その後娘からのコメントは?

私たちが危機的な状況下であるにも関わらず、馬耳東風で眺めていたことは許しがたい。
「パパ(私のこと)って、肝心の時にホント役立たずだよね。まるで他人事なんだから。」

リスク管理(事前)、危機管理(真っ最中)の重要性を日頃唱えながら、肝心の時に自ら動かないのはリスクマネジメントに関するコンサルタントとしての資質に重大な疑問を抱かざるを得ない。妻も激しく同意。

そこまで言われたら、私も反論したくなります。笑

家族にとって「重大なリスク」や「危機」とは何か?

例を挙げるとしたらこんなところでしょう。

A 病気・怪我
家族の構成員が重篤な病気、重大な怪我を負い生命に危険が及ぶ場合か重大な障害が残存することが予想される場合。
 
B 犯罪
家族が犯罪の構成要件に該当する行為を行い、その結果が実名報道され、構成員全員に重大な影響を及ぼす蓋然性がある場合。

C 離婚
夫婦の間の感情的対立、見解の相違が人格的対立に変質・深刻化し、婚姻関係の維持が極めて困難になる場合。

D 財産の喪失
家族の構成員の資産が大きく毀損し、または突然負債が増大して、構成員の財産状況が大きくマイナスとなり、その結果として生活を維持することが経済的に著しく困難になる場合

E その他
家族としての社会単位を平穏無事に維持することが著しく不可能になる様な重大な阻害要因が発生した場合。

やや定性的表現になりましたが、今回のケースはどうでしょうか?勿論皆さまは「肝心の時」「大変な時」?笑うしかないと思うでしょう。

でもリスク評価をする場合に、人はえてして自分がどれくらい大変だったか、苦労したかという「感情的・感覚的評価」をしてしまいがちです。
とくに自分が実際に体験してしまうと過大評価をしがちになります。

企業に置き換えてみるとどうなる?

企業の事業活動においてリスクの洗い出し議論を進めていく過程で、
私「それは本当に重大リスクですか?」
という当方の問いに対して、

顧客「**という実際にあったケースです。社内は本当に大変だったんです。」
という弊社の問いかけに対して一生懸命反応、反論されることが時々あります。

 **例 商品の使い方を間違えた消費者が勘違いして会社に苦情申し立てに来た。
商品の欠陥、瑕疵の問題ではなく、取扱説明書の不備でもないことはすぐにわかったが、激高しているお客様の対応に数時間かかった。
この間事務所で怒声が響き渡り、当該フロアの業務に著しい障害が生じた。

対応した社員たちは
「こういう誤解を生じさせる商品の存在は会社の重大なリスクである。」
と主張している。

勿論弊社としては、
「それは大変だったですねえ。通常業務に復帰するのに時間はかかったでしょう。」
「そういう目には会いたくないですね。」
と共感しつつも、

予想される最大損害額、最悪のシナリオ

私「結局会社の受けたダメージは定量的に換算するとどの程度でしょう?最悪のケースではどうなりますか?」
顧客「金額的にはたいしたことはないかもしれませんが、私たちの精神的損害です!」

再発確率 再度発生する可能性

私「今度同じようなことが起きる可能性はどうでしょうか?1年以内に起こりえますか?
多分ない。では3年以内には?多分ないですか。うーん蓋然性は低いですね。」
社員「でも完全にゼロとは言い切れません。可能性が残っている以上リスクじゃないですか!」

こういう事例が持ち上がった時は、リスクに対する理解を深めていただく絶好のチャンスです。

リスクを評価してみる

予想される最大の損害額または最悪の影響
発生確率
→すなわちどのくらいの頻度で起きるのか

両方を考慮し、もっぱら①をまず考え、次いで②を検討する。

今回のRちゃんのケース(店内で他の子とおもちゃの取り合いになって泣きわめき、その対応に両親が忙殺される)では、

予想される最悪の影響
両親が対応で汗だくになり、大変な思いをする。
頼んでいた料理がすっかり冷めてしまう。
その子の親にも気まずくなる。店の反応によっては再訪しにくくなる。
要するにこんな程度です。

発生確率
これは今後頻繁に起こるでしょうね。成長するまでは。両親は覚悟してください。

でもこれは家族としての社会単位を平穏無事に維持することが著しく不可能になる様な重大な阻害要因ではありません。したがって「危機」でも「大変な状況」でもないのです。

したがって、今後再発する蓋然性は極めて高いので「リスク」ではありますが、非常に小さい影響なので、「対処、防止、軽減することが必須の重大リスク」ではないのです。

以上の説明をしましたが、娘夫妻はとっくに他の話題と注文した料理に夢中。笑いながら食べていました。
Rちゃんはお腹がいっぱいになって寝ています。

娘の云う「危機的状況」はとっくに消失しました。
そもそも「危機的状況」だったのでしょうか?

あとがき

如何ですか?
考になりましたでしょうか?

今回はリスクの評価(リスクアセスメント)についてお話しさせていただきました。

今後また日常の他愛無い会話やできごとを題材にしてリスクマネジメントの概念をわかり易くご紹介させていただきます。

関連記事

RELATED POST

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP
MENU
お問合せ

TEL:0120-333-4444

(月 - 金 9:00 - 18:00)カスタマーサポート